溢れる彼岸花

ノルバイ糸島は、糸島の海と里山を、電動アシスト自転車でめぐるガイド付きのサイクリングツアー。
ペダルを踏むたびに、景色も、心も少しずつ変わっていく。

今日の糸島は、予報が外れて晴れた。
昨日までの雨が嘘のように、雲が高く、風が軽い。
嬉しくなって、いつもより少し早く家を出た。行き先は福吉。花を見に行くついでに、お気に入りのカフェでひと休みするつもりだ。

朝の九時を過ぎたばかりだというのに、日差しは容赦ない。
ペダルを踏むたびに汗が滲み、「もう十月だぞ」と独りごちる。
だが、不思議と悪い気はしない。晴れの日の光には、理屈を越えた幸福がある。

田園の向こうに白い雲が浮かんでいる。夏と変わらぬ形のまま。
途中、縁結びで知られる白山神社に立ち寄ると、境内では人々が忙しそうに動き回っていた。秋祭りの準備だろう。
宮司に挨拶をしたかったが、手を合わせて静かに頭を下げるだけにした。縁結びは、どうやらまだ先のようだ。

坂を上ると、赤米アートが見えてきた。見頃は少し過ぎていたが、展望台からの眺めは、それでも十分に美しい。
稲穂の一筋一筋に、手をかけた人たちの思いが宿っている。そんな風に感じられた。

カフェが近づくと、視界の先に赤い帯が広がった。
溢れるほどの彼岸花が、道の両脇を染めている。黒い翅を震わせるクロアゲハが、蜜を吸いながら花の間を舞っていた。
ピークは過ぎたと聞いていたが、まだ十分に鮮やかだった。

カフェのテラス席に腰を下ろすと、心地よい疲れがふっと抜けていく。
暑かったが、夏はまだ遠くへは行っていないらしい。今日も、汗が頬を伝う。
それでも悪くない一日だった。

📍ぎゃらり ふがく
福吉駅から少し入った場所にある、ギャラリー併設のカフェ。
窓の外には、まるで絵のように彼岸花が咲き誇る。
今日のランチは、あいがけのカレー。チキンダールとグリーンカレーの香りが、旅の疲れをやわらげてくれた。
ドリンク付きでこの満足度。正直、秘密にしておきたい場所だ。

ノルバイ糸島では現在、「糸島芸農ライド2025」の参加者、そして「サイクリングサンタ2025」のスポンサー&ボランティアを募集中です。
興味のある方は、ぜひお気軽にお声がけください。
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