風がない。
それだけで世界が静かになる。
春とも初夏ともつかない光が、静かに景色を包んでいる。
そんな穏やかな日には、心が自然とパンを求める。
今宿駅前のベーカリーには、開店前から小さな行列ができていた。
扉が開いた瞬間、焼きたての香りがふわりと漂う。
香りに導かれるように、いくつかのパンを手に取る。
フィッシュフライサンドと、岩塩のフォカッチャ。
そしてやっぱり外せないシナモンレーズン。
結局、いつものパンを選んでしまう。
けれど、それが安心という味なのだと思う。
パンを袋に詰めて、自転車にまたがる。
目指すは、いつもの海沿いの公園。
風もなく、陽射しは柔らか。
ベンチに腰をかけ、潮の香りと焼きたての余韻を味わう。
周りには、犬と歩く人、釣り糸を垂れる人。
誰もがこの昼を、穏やかに大切にしている。
パンを食べ終え、しばらく海を眺めていた。
言葉のいらない時間だった。
このまま季節が止まればいいのに、と思うほどに。
今日の西日本新聞に「ノルバイ糸島」の記事が掲載されました。
新聞をとっていない方は、ぜひコンビニでご覧ください。
🚲来週末も天気は良さそうです。
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この季節の風を逃さないでください。
📍 KEIZO bakery(ケイゾーベーカリー)
今宿駅前の住宅街に静かに佇む、小さな人気ベーカリー。
元ホテルのパティシエとパン職人のご夫婦が営んでいて、扉を開けると、焼きたての香りと優しい空気に包まれる。
ハード系のパンは噛むほどに小麦の香りが広がり、デニッシュは繊細な層の中に季節の果実やクリームが隠れている。
今日は、フィッシュフライサンド、岩塩とオリーブのフォカッチャ、そしてシナモンとレーズンのやわらかなパンを購入。
新しい味にも出会いたいけれど、つい、いつものお気に入りを手に取ってしまう。
この店には「また来たくなる理由」が、ちゃんと焼き上がっている。